Oasis Create(札幌市)さんを訪問してきました。

「Oasis Create」さんは北海道札幌市にある就労継続支援B型事業所。就労の意欲を持ちながらも一般企業への就労が困難な方に対し、働く場を提供すると共に、個人のスキルや興味を大切にしながら知識や能力向上のための支援を行っています。ここに通うメンバーさんが小樽のテキスタイルデザイナー・Aobatoさんの布と、札幌の養蜂家・笠巻さんのみつろうを使い、100%自然素材でみつろうラップ「Mitutumi」を製作しています。今回は事業所で働く志水美智子さん、水木まりさん、小樽市を拠点に活動する「Aobato」のデザイナー 岩本奈々さんにお話を伺いました。

Oasis Createとみつろうラップの出会い

最近目や耳にすることが増えましたが、みつろうラップをご存知ですか?みつろうラップとは、みつろうを布に染み込ませて作ったラップです。みつろうには、抗菌・保湿効果と程よい通気性があり、野菜や果物などの食品を保存することができます。使用後は水でやさしく手洗いし、汚れが気になるときは食器用洗剤を使用して洗えば繰り返し使うことができ、役目を終えた後は土に還すことのできるエコなラップです。

Oasis Createとみつろうラップの出会いは偶然。当時は一部のメンバーさんだけができるクリエイティブな作業が多く、障がいの特性に縛られずみんなが関わることがに出来る作業が少なかったと言います。そんな中たまたま見ていたテレビでみつろうラップのことを知り「これだ!」「作ってみよう!」と志水さんと水木さんはすぐに動き出しました。

とは言え、ゼロからのスタート。当時はまだみつろうラップはあまり出回っているものではなく、ましてや材料集めや作り方も手探り状態。『事業所はみつろうラップ工房に変身したかのような、文字通り試行錯誤を繰り返し寝ても覚めてもみつろうラップのことばかり考える日々が始まりました。』と話す志水さん。

まずは、みつろうを探すところから。北海道各地の養蜂家さんへコンタクトをとり、事業所のことや経緯、方向性などプレゼンを繰り返します。その中で出来るだけ近い場所で、なおかつ顔をみることができる関係が必要と感じ手稲区の「はちみつやさん」へお願いすることに。

何種類もの商品を実際に購入し(ドイツから取り寄せた商品もあるんだとか!)比較研究をしたり、ネットなどで作り方を探し試作を重ねようやく製品が出来上がったそうです。

小樽のテキスタイルブランド「Aobato」と出会う

ようやく製品が出来つつあった頃、はちみつやさんからの紹介で、桑園や赤レンガテラスでカフェをやっている「椿サロン」さんに置いてもらえるという話が舞い込みます。そこでのやり取りの中で『北海道ブランドにするために、北海道のデザインを取り入れたらどうか?』とアドバイスをもらい、すぐに生地のデザイナーさんを探し始めますがかなり難航。

以前から親交のあったた北欧セレクトショップ「ピッコリーナ」さんに相談したところ、小樽のテキスタイルブランド「Aobato(アオバト)」を紹介してもらいます。すぐに出展していたイベントへ出向き、Aobato デザイナー岩本奈々さんと出会います。

「Aobato」は海辺の町小樽を拠点に北国の暮らしを題材としたオリジナルデザインの絵柄とシルクスクリーンの手捺染によるテキスタイル制作を行っています。デザインコンセプトは「アオバトの眼に映る北国の情景」。モチーフは小樽をはじめとした人々の営みや、季節の移ろい。日々の中で通り過ぎる何気ない景色、アオバトの視点になぞらえたらどんな瞬間に出会えるだろう、、と思いを馳せながら景色を描き、1枚1枚生地を染めています。デザインを岩本さんが、そして染めるのが旦那さんの小菅和成さん。ご夫婦で作品つくりをされています。

『まさに探していたデザイナーさんだと直感。』

北海道の自然をモチーフにした様々な美しい柄、発色も独特でインパクトのあるプリント、なおかつ綿100%の日本手拭いなのでミツロウとの相性も抜群!岩本さんもみつろうラップをご存知だったこともあり、すぐに商品化へ。

様々な色、柄のみつろうラップ「Mitutumi」が完成。「Mitutumi」という名前は岩本さんが名付け親なんだとか。

今ではイベントに出展することで徐々に知ってくださる方が増え、取り扱ってくださる店舗も増え。主にキッチンに立つ幅広い年代の方に使っていただけるようになりました。

みつろうラップ「Mitutumi」を製造するようになり、生地のカット、ミツロウ削り、松脂を微細にする、ミツロウを生地に染み込ませる、ラッピング用のグラシン紙のカット、ラベルのカット、ラッピング、パンフレット折りなど、多岐に渡って事業所のメンバーさんへ作業を提供できるようになりました。それだけでなく、自分たちが作ったものが誰かの手に渡り使ってもらえるということが事業所の活気にも繋がっています。

そしてミツバチのことをもっと知りたいと思っていたところ、「さっぱち」と繋がることが出来ました。『札幌のビルの屋上で養蜂の活動をされている「さっぱち」と更に自然を考え、大切にした活動や、ワークショップなどを通じてみつろうラップをもっと知ってもらえるような取り組みをしていきたいです。』と話してくださいました。

メンバーさんのために動き出したOasis Createに、様々な人の繋がりで完成したみつろうラップ「Mitutumi」。たくさんの想いを乗せ皆さまのお手元へ届けます。購入はこちらから。

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