やまか(札幌市)さんを訪問してきました。

すすきののジンギスカン やまかについて

北海道札幌市の繁華街すすきの。その一角に北海道民のソウルフードであるジンギスカンのお店「やまか」があります。暖簾をくぐり店内に入ると、七輪用の炭が温まっている香りと多くの人に愛されている証拠であるたくさんのメッセージやサインが迎えてくれました。丸いカウンター席と奥にテーブル席があり、数人のグループでワイワイとジンギスカンを囲むにはちょうどいい店内です。そんなお店でお話を聞かせてくれたのは、有限会社やまかの取締役佐藤 良和(さとう よしかず)さん。「やまか」が歩んできた約16年のストーリーやジンギスカンへの想い、佐藤さん自身のご経験などのお話を聞いてきました。

やまかは2005年に佐藤さんのお母さんによって創業されたお店です。当時まだ育ちざかりだった子どもたちを育てながらの開業だったそうです。もともと商売人の家系で、祖父がやまかの名前で質屋さんを営んでいた建物の後にジンギスカン屋さんを始めました。2005年当時、北海道ではジンギスカンはとても有名な家庭料理でしたが、外で食べる文化は今ほど浸透していなかったようです。そこからマンションで暮らす人が増えたことやインバウンドのお客さんが増えたことに起因し来店者が急増してきました。開店当時から地域のお客様とのコミュニケーションを大切に接客を行ってきたため、お母さんとのおしゃべりを楽しみにジンギスカンを食べにくるお客さんも多いのだとか。遠方からわざわざ足を運ぶ人や、常連さんのつながりや口コミで客層を増やしていったそうです。コロナウイルスの影響で観光客が減ってしまった現在でも、お店に多くのお客さんが集まりにぎわっている秘密がここにありました。

高品質のジンギスカンを目指す料理人

「もともと、お母さんが創業したときの姿を見ていたので、やがてお店を継ぐだろうなと考えていた」というところから佐藤さんのお話がスタートしました。小さいころからジンギスカンを食べることが好きだったそうですが高校卒業後はすぐにお店を継ぎたくはないという想いから東京へ。焼き鳥屋さんで働きながら学んだ肉の捌き方や調理法などは、現在お店を運営する上での基礎となりました。東京で働いた後には、オーストラリアにワーキングホリデーに行っていた経験もあるそうです。
佐藤さんがお店に立つようになってからこだわったのは、質の良い羊肉を提供することでした。ラムやマトンについて、誰かに聞きに行くのではなく独学で肉の捌き方や仕込みの方法などを研究し今に至ります。捌く人によって味が変わるという羊肉なので、佐藤さん自身の探求心が生み出したこだわりの捌き方で提供されてます。北海道の伝統料理だと思われていることが多いジンギスカンですが、昔から日本各地の山間の地域ではよく食べられていたそうです。最後には、「お母さんが大切にしてきたお客さんに、こだわりのお肉をだしていきたい」と熱く語意を強めて語ってくれた姿が印象的でした。

使う包丁からは、日々の努力が伝わってきました。もともとは、3つの包丁は普通の包丁と同じサイズでしたが一つの道具を長く使いこみ、切れ味を保つために丁寧に研いできたことで、どんどん小さくなり今の状態になりました。一番小さな包丁も現在も使われていて、細かい部分を捌くときに重宝するそうです。

こだわりの羊肉

「やまか」さんではこだわりの羊肉を提供しています。厳選された羊を半頭買いという方法で仕入れ、どこの部位をどのように切って提供するのが良いのか?とひたすらに研究してきました。半頭買いをすることによってお肉を捌く手間は増えてしまいますが、すべての部位の特性を知れることや無駄なくおいしい部分をカッティングできるといいます。この方法で仕入れているからこそ、あまり一般的ではない部位まで提供が可能ということもこだわりです。サーロインがその代表格で、人気商品の一つです。提供される羊肉はオーストラリア産とアイスランド産になり、特にアイスランド産は臭みが少なく食べやすいといわれていますが流通量が少ないので、非常に希少性が高いものとなっています。最近は、羊の流通の方法が進化し冷凍ではなくチルド状態での輸入が一般的になり、解凍時に臭みが出るということが無くなったので、羊肉自体が食べやすくなりました。提供する肉の種類を増やし、羊肉の焼肉屋さんのようにして行きたいそうです。

オリジナルのたれも特徴の一つで、「やまか」さんでジンギスカンの〆に食べるラーメンを見据えて開発された味だそうです。ジンギスカンの後には、お茶漬けを食べることがあるそうですが、創業当時から〆にラーメンを食べるのが「やまかスタイル」です。結果ラーメンが大好評。ジンギスカンを食べる楽しみの一つになりました。

こちらのパリパリ焼きは、オリジナル開発した人気のメニュー。じっくりと焦げ目がつくまで七輪の上で焼いて食べるパリパリ焼きは、口に入れた瞬間に、ラムの香りがふわっと広がる商品です。下味がシンプルな味付けになっているのも、羊肉をより味わうためのポイントです。ビールにも合うし、白いご飯にものせて食べたい一品です。

すすきの繁華街で半頭買いした本格的な生ラムジンギスカンが楽しめる「やまか」さん。地元の人に愛されるお店を作っていった後に、口コミにより地元の人から観光客人気が広がるようなお店にしていきたいというお話が印象的でした。「これからの展望は何ですか?」という問いに対して、「次はジンギスカンが流行っていない地域に出店し、ジンギスカン文化を北海道外にも広めたい」という熱い想いを語ってくれた、佐藤さん。国内1人当たりの年間消費量がたった200gという羊肉マーケットですが、お肉を食べたいと考えた時に多くの人が焼肉やステーキと同じようにジンギスカンが浮かぶような日本を作りたいという夢に向かい、日本全体の羊肉マーケットをすすきのから盛り上げます。

関連記事