石狩市厚田へ
北海道石狩市。札幌の北に位置し、日本海（石狩湾）に沿って南北約67キロに広がります。石狩川が市内を流れ名前の元になったのはもちろん、その河口部は古くから交通の要所として栄えました。名物石狩鍋は、サケの交易の場所として古くから栄えていることによって発祥した伝統料理です。今回訪れた厚田区は札幌市から海を眺めながら車で北上すること約1時間、石狩市のちょうど真ん中あたりに位置します。取材に行った日は冬の日本海を感じさせる強い風が吹いていましたが、春から秋にかけては海沿いの道を気持ちよく走れるということで、札幌の人にはとても人気のドライブコースになっています。また、夕日がとてもきれいに見られる景勝地で、恋人の聖地としても有名です。戸田記念公園という桜の名所もあり、この頃は花見に訪れる多くの人で賑わいます。
道の駅石狩「あいろーど厚田」
道の駅あいろーど厚田は、2018年の4月に誕生した石狩市初の道の駅です。札幌市から留萌へと石狩湾沿いに続く国道231号線沿いにあり、札幌方面から向かうと厚田の街中を抜けて数分走ったところに、日本海が良く見えるようにガラス張りになっているの建物が見えてきます。
近くには、厚田海浜プールと呼ばれる波けしブロックの内側で遊べるビーチがあったり、朝市（4月中旬～10月中旬開催）で有名な港があります。夏はキャンプ場に多くの人が訪れ、その頃にはBBQなどの具材が買う人も多いそうです。最近では地域おこし協力隊の方と共に、様々な観光施策に取り組んでいます。
取材に訪れたのは午前中でしたが、この場所の魅力は何といっても夕日。この夕日の美しさから、全道景色のきれいな道の駅ランキング2位にランクインするほどです。道の駅の施設3Fには展望デッキもあります。
あいろーどの名前は、春から夏にかけて北東の風を幸せを呼ぶ風「あい風」と呼ぶことがもとになっています。店内には、厚田でとれる新鮮な野菜やお土産が並びます。今回お話を聞かせて頂いたのは、道の駅石狩「あいろーど厚田」を運営する株式会社あい風の代表取締役 秋井 卓也（あきい たくや）さん。もともとは、札幌出身の方ですが現在は厚田の大ファンになり、仕事もあるので近くに住んでいるそうです。この地域の魅力や道の駅を運営する醍醐味、秋井さんのストーリーまで沢山のお話をしていただきました。
もともとは、大手日系の航空会社の営業職だった秋井さん。北海道観光振興機構で働き始めたのが、北海道の観光に携わりはじめたきっかけです。前職で働いていた時には、厚田と直接的なかかわりはなかったのですが、ドライブやサイクリングで来ていた場所だったそうです。道の駅の駅長になった時から精力的にこの町を盛り上げています。ドライバーが休憩するだけの場所ではなく、地域コミュニティのつながりを作る場所としての役割や観光の魅力を発信していく場所にしていきたいと想いを語ってくれました。
名物「飯寿司」
地元の様々な商品を扱う道の駅の売店ですが、人気商品の一つに飯寿司（いずし）があります。北陸から北海道では寒い冬を乗り切るための保存食として古くから食べられてきた伝統料理ですが、最近では生産者さんが徐々に減少していることもあり、希少性の高い食べ物となってきました。鮭やニシンなどの魚を塩と米飯で乳酸発酵させて作る熟鮓（なれずし）の一種ですが、くさみ等はなく、熟成した魚の旨味と酸味のバランスが取れています。とても食べやすくて美味しい飯寿司は、お盆や年末年始など幅広い年代の家族が集まるときに食卓に並ぶことが多いそうです。
望来豚と厚田こだわり隊
望来豚は厚田の近くの農場、ノースベストファームのブランド豚です。石狩湾を望みあい風が優しく吹くような丘の上でのびのびと育てられています。飼料はすべて北海道産というこだわりがあり、農場から生産されるたい肥も北海道に還元されるという地元完結の循環型畜産業を実践されています。豚肉には、きめの細かい霜降りが入っていて、あっさりとした脂身が特徴です。ロースはもちろん、バラ肉を食べてもさっぱりと食べれます。流通量が限りなく少ないので、道の駅でぜひとも購入したい一品です。
この地域でとれる海産物や農産物、望来豚などの畜産物を使って厚田の魅力を発信しているのが「厚田こだわり隊」です。道の駅で取り扱いがある、肉まんやフランクフルトの商品開発をしたり、観光シーズンには露店を出したりしています。このグループには、農家の方だけでなくサラリーマンの方や役所の方なども参加され、オール厚田でこの地区をを盛り上げるために活動しています。
冬は寒さが厳しく強い風が吹く地域ですが、春から秋にかけての観光シーズンにはドライブにぴったりの場所。札幌からのアクセスも良く、おいしい海鮮物を食べたり、夕日を眺めたりしに行ってみたい所でした。ぜひ厚田の魅力ある商品を試してみてください。
