THE DANSHAKU LOUNGE(七飯町)さんを訪問してきました。

北海道函館市にある『HAKODATE 男爵倶楽部 HOTEL & RESORTS』と、隣の七飯町(ななえちょう)にある『THE DANSHAKU LOUNGE』は、七飯町が発祥地とされる「男爵いも」とそれを普及させた「川田龍吉(かわだりょうきち)男爵」の功績を後世に伝えることを目的として設立されました。

『HAKODATE 男爵倶楽部 HOTEL & RESORTS』では川田男爵のスピリッツを色濃く表現した取り組みを行っていたり、『THE DANSHAKU LOUNGE』は資料館、レストラン、買い物が楽しめるだけではなくイベントやコミュニティスペースを備えた新しいスタイルのラウンジとなっています。今回はそれぞれの施設で斉藤将嗣さん、小林優さん・石田隼人さんに、川田男爵にこだわる理由・男爵いもをつかったスイーツに対する想いを現地で取材してきました。

『HAKODATE 男爵倶楽部 HOTEL & RESORTS』

函館市にある『HAKODATE 男爵倶楽部 HOTEL & RESORTS』というホテル。こちらは、川田男爵の功績を後世に広めていくことを目的に『THE DANSHAKU LOUNGE』の12年前に開業しています。なぜ川田男爵にこだわるのか、なぜホテルだったのか、総支配人の斉藤将嗣さんに話をお聞きしました。

総支配人の斉藤さん

そもそも、川田男爵とはどんな人物だったのでしょうか。川田龍吉は1856年、高知県に生まれました。1877年から7年間のスコットランドへの留学で船舶機械技術を学び、それを日本に持ち帰ってきたのです。日本の造船工業界の先駆者として帰国後の1903年に横浜ドックの初代社長に就任し、6年後に函館ドック再建のため来函しています。これが川田男爵と函館の出会いとなりました。
留学時代には欧米式の農業にも触れたそうで、晩年は現在の北斗市にて北海道農業の普及に尽力していました。川田男爵が海外から取り寄せたアメリカ原産の種芋を試験栽培したところ、早熟かつ病害虫に強い品種であることが分かります。そして、これを普及させたのも川田男爵でありましたので「男爵いも」と呼ばれるようになったそうです。現在では北海道はもとより日本全国で栽培されている品種で、野菜や米の品種改良が盛んな現代に至るまで1世紀近く栽培され続けている非常に珍しい品種でもあります。

2007年に『HAKODATE 男爵倶楽部 HOTEL & RESORTS』を開業すると打ち出したのは、現会長であり当時の社長の木村孝二さんでした。会長は川田家と親交があったためこの功績を伝えていきたいという思いがあり、人を惹き付ける魅力をもつホテルに男爵の名前を入れオープンさせたのです。

ホテルでは川田男爵のスピリッツを色濃く表現しています。川田男爵は日本で初めて自家用乗用自動車を運転したり、欧米から大型農機具を輸入するなど最先端をゆく人でした。それを社内で「進取のスピリッツ」として掲げ、他ではやらないことに挑戦しています。例えば、最上階のコンセプトルームではそれぞれのお部屋で函館にゆかりのあるクリエイターさんとコラボレーションしています。この取り組みは函館ではここしかありません。

そして、函館といえば海鮮が思いつく方も多いかと思いますが、函館朝市内にある船岡商店さんのすずや食堂で提供されているものをお部屋に運んでいただいて楽しむことができます。このサービスも函館市内を探してもここだけしかありません。大きな窓から差し込む太陽のもと、広々としたダイニングで函館の海の幸を味わえるとっても贅沢な時間を過ごせます。

ベランダからの景色は、函館のシンボルである函館山を正面に眺めることができ函館を満喫できることでしょう。

『THE DANSHAKU LOUNGE』

2019年に『THE DANSHAKU LOUNGE』が開館しました。川田男爵にまつわる展示、地元の食文化を継承するレストラン、お買い物が楽しめるほか、イベントやコミュニティスペースを備えた新しいスタイルのラウンジとなっています。

広々とした作りで、入るとすぐショップになっておりお買い物を楽しむ方で賑わいます。そして、川田男爵にまつわる展示がずらり。壁の上部にまで展示がされています。この独創的な展示は「日本空間デザイン賞 2019 BEST100」に選出されているんですよ。

川田男爵の恋物語や、欧米から輸入した農耕具、国内最古の自家用乗用車、生活で利用していたものが解説付きで展示されています。

ショップチーフ小林さん

併設されているショップでは、食品や生活雑貨からギフトやワインなど、北海道や函館の誇れる商品をセレクトしたり、オリジナル商品を開発・販売しています。それが男爵いもを使用したチーズケーキとまんじゅう。地域に貢献するという意味も込めて地元の洋菓子屋さんジョリクレールさんと開発しました。お話を聞いている時は料理に使うという認識しかなかった男爵いもをスイーツに使うとどんな味わいになるのか不思議に思っていましたが、実際に男爵チーズケーキを試食させてもらうと舌触りは滑らかでじゃがいもの甘みとほんのり香りが感じられてとっても美味しかったです。

料理長石田さん

ショップのお隣のレストランでは、道内の食材と地元の食材を使ったお料理が提供されています。そこでも男爵いもを使用した「バスクチーズケーキ」を製造・販売しています。

料理長の石田さんは料理以外に新しい男爵いもの使い方を考えている中でスイーツが頭に浮かび上がります。初めはクッキー、スイートポテトを試作しましたが、最終的にバスクチーズケーキにたどり着きました。いもの配分や生クリームの種類などたくさんのパターンを試し、約半年の開発期間を経て今のバスクチーズケーキが完成しています。バスクチーズケーキは男爵チーズケーキよりも「じゃがいも」を強く感じました。一般的なスイーツよりも甘さ控えめで食べやすかったです。

今回取材させていただいて、地元に住む人が地元のために貢献してくれた人を称えていてとっても素敵だな思いました。「男爵いもを使用したスイーツ」ぜひ一度味わってみてください。

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