EBIJIN(余市町)さんを訪問してきました。

『蝦夷鹿の本当の美味しさを知ってもらいたい!』
そう話すのは北海道余市町で鹿肉の販売をしているEBIJINの明念さん。近年ではジビエを提供する飲食店が増え「ジビエブーム」到来とも言われていますが、まだまだ本当の美味しさを知っている人は少ないのが現状。実際に”鹿肉”と聞いた時にイメージするのは特有のにおいやかたいなどではないでしょうか。

蝦夷鹿はその名の通り、北海道のみに生息する国内最大の草食動物。一時は絶滅寸前にまで生息数が減少していたこともありますが、禁猟などの保護政策を行うことで生息数が回復。蝦夷鹿の高い繁殖力と生息環境の変化により、現在では急速に生息域を拡大しながら数を増やしています。その結果、農林業被害や交通事故の増加などで人間社会へ影響を及ぼしたり、生態系への影響などが問題となるなど、悩みの種になりつつあるのも事実。実際に余市町でも農作物や果樹が食べられてしまう被害が2010年頃から目立つようになったといいます。

なぜ明念さんは余市町で鹿肉の販売を始めたのでしょうか。

元々は東京出身の明念さん。飼っていた犬が市販のドッグフードだとアレルギーのような反応が出る事に気づきます。フードを変えるなどし、様々試したところ、人間の食べ物が一番合っていたそう。「添加物に反応しているのではないか、、、?」と仮説をたて、添加物を使用しないペットフードを作ることを決意。魚を使いたいなと構想を練っていると、奥様の父親のつてで余市町でなら可能とのことで起業、移住。北海道産の魚をメインに使用した無添加ドックフードを作って販売していました。

そんな中、地域の人から鹿肉をもらいます。「お。美味しいな。」と、これが鹿肉との出会い。鹿肉を、他の人にも食べてもらいたいという気持ちも生まれます。当時、鹿肉の捌きかたを習う人がいなかったので独学で約8年学びようやく形に。『余市の町では邪魔者扱いされている蝦夷鹿も、美味しく食べてもらえれば命も無駄にならずにすむ。そもそも、牛・豚・鶏・羊と並ぶくらいのポテンシャルがある。』そんな思いでより美味しく捌ける方法を研究していました。

実際に明念さんが捌いた鹿肉を食べさせていただくと、今までの鹿肉に対する全てを覆されました。くさみは全くと言い切れるほどなく、上質な脂が感じられ柔らか。今まで食べたことのある鹿肉って鹿肉だったのか?、きっと何も言われずに食べたら牛肉の赤身かな?と思ってしまうほど。

『これが本来の味なの。』

「それには処理の仕方が大切。どうやって、どのくらいの時間で処理されたかで味が変わってくる。そしてきちんと保存できればもっと美味しく出来る。大変だけど、だからこそ面白い。」そう話す明念さん。

鹿肉をもっとフランクにカジュアルに食べる時代を作るため、まずは鹿肉の味を知ってもらう活動に力を入れています。この日は札幌市内で学生が運営するカフェ&コワーキングスペース 13LABOにて、実際に鹿肉を食べてもらいながら狩猟や肉の販売についてお話しされていました。

学生たちも「今まで食べた鹿肉で一番!」「初めて食べたけれど美味しい!」など大絶賛。みていても気持ちの良い食べっぷり。『「知る」と言うことがまず大事。そこからハンターに興味を持てばやればいいし、料理をするでもいい。もっと知ってもらいたい!と活動するのでも、食べるだけでもいい。本当の鹿肉ってこれなんだと言うことを知ってもらえれば。』と学生との会話の中で話されているのが印象的でした。

このような知る機会を増やす活動の他に、今後はハンターを育成するスクールなんかの構想を練っているそうです。いいハンターさんが増えれば、それだけいい肉を仕入れられるから。鹿肉を食べてもらう人を増やす活動と高い品質で提供する活動と、未来を見据えています。

そして最後には、「人間が減らして増やして、もとに住んでいた環境に立ち入って。人間が引き起こした問題を解決するのは人間。当たり前のこと。」そう仰る明念さんからは熱い想いが伝わってきました。

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