北海道札幌市の中心部から車で約20分とは思えないほど、みどり豊かな小別沢というところに工房と直売店が併設された「チエモクファクトリーショップ小別沢」があります。
チエモクさんは木のうつわや雑貨など、木材をメインとした製品を製造販売する木工クラフト工房です。
代表の三島 千枝(みしま ちえ)さんのお名前と木の「モク」を合わせて「チエモク」という店名にしたそうです。
千枝さんのご実家が札幌市南区の常盤で家具職人をしており、お店を持つなら同じような山の中の環境がいいなという想いから小別沢を選んだそうです。
小さな森の中にあり、小別沢近辺では毎年クマがでるようなエリアです。
店内の様子です。
うつわや雑貨など、たくさんの作品が並んでいます。千枝さんとご主人を含め3人で100種類以上もの作品を作っています！
作品の中にはソーシャルプロダクツアワードを受賞している「もりのともだち」シリーズや
札幌スタイルに認証されている「coberu」シリーズがあります。
人や地球に優しく、かつ札幌の暮らしの魅力を発信する作品をつくっています。
千枝さんの作品をつくる上でのこだわりは、「木のいのち」に感謝してできるだけ木材をムダにしないように、木材を最大限活かすよう工夫することです。
そして、地元である北海道の木材を使用し、中でも北海道の北側にある下川町の木材をメインに使用しています。
「札幌スタイル」に認証されている「coberu」シリーズは、下川町産の「ハンノキ（榛の木）」を使った作品です。
「ハンノキ」は、イチイ・マカバ・ミズナラなどのように木材として人気のある高価な木ではないものの、他の木に比べ成長が早く生命力が強いため50年程という比較的早い年月で大木に成長する天然林の広葉樹であるため、環境負担を減らし資源を有効活用できます。
そして、赤みのある色合いと、軽くて柔らかい木材であるという特徴があり、どうにか活かせないかと加工するようになったそうです。
ここにも「木をいのち」を大切にしている想いが汲み取れます。
＜札幌のものづくりを、札幌のブランドに＞
「札幌スタイル」とは、こんな想いを込めて、札幌の街のブランドを活かし、さまざまな企業や人材が連携してビジネスを産み出してネットワーク型の産業を育てることを目的としてスタートした札幌市の施策で、札幌の暮らしの魅力を商品化するユニークで創造性の高い企業群が活躍し、札幌市民のみならず国内外から支持されることを目指しています。
自然と都市が共生する、次の時代の生活像を追求し、質の高い生活を実現するために優れたものを探し出しつくり出し、デザイン・開発から生産、流通、そして生活形成へとつなげていく活動をしています。
2004年からはじまった活動は、スキンケア商品、雑貨、アクセサリーやクラフト製品が主となり、普段使いできるものからプレゼントまで札幌らしいアイテムが毎年「認証製品」として販売されています。
「coberu」の形成する過程を見学させていただきました。
板状の木材をまるく切り出します。
木材の伐採は、木の中の水分が少ない2月頃の寒い時期にされるそうです。
伐採されてから、板状にスライスし乾燥され、木材として工房へ届くまでは約1年ほどの時間がかかるんだとか。
旋盤にセットし刃物を当てて内側をくり抜いていきます。
ミリ単位のとっても繊細な作業です。
形が整ったらヤスリをかけて磨いていきます。
少しヤスリを当てるだけで色や模様が変わっていく様子をみることができました。
その後、塗装をし塗料がしっかり乾くまで1週間ほど時間をおきます。
それを数回繰り返すので、塗装には約1～1ヶ月半もの時間を要します。
そして、ガラスコートをすることで、水分や油分を弾くので器の使用用途が広がり、劣化を防ぐことができるので使用頻度が高くても長い間使用できるようになります。
「coberu」のこだわりは肌触りと木の温度や命を感じられるようなぽってりとした厚みだそうで、実際に手にとってみると、手のひらにぴとっと吸い付き馴染むような感覚がありました！
2019年の北海道下川町での植樹の様子。
千枝さんは、「木のいのち」を頂いてものづくりしているからこそ年に一度、北海道下川町で植樹をしています。
森林資源を次世代につなげられるように、立派な木材となって誰かの役に立てるようにと想いが込められています。
一つの作品が出来上がるまでに1年以上の時間と、チエモクさんの想いが詰まった作品が購入できますので、札幌にいらした際はぜひ小別沢の店舗にも足を運んでみてください！
Chiemoku ファクトリーショップ 小別沢
札幌市西区小別沢140
TEL 011-790-7012
10:30～16:00
定休日 火曜・木曜
※新型コロナウイルス感染症の影響により、当面の間、月曜～木曜を休業日。
