北海道札幌市「ナナクラ昆布」の木村真依子さん。
太平洋を臨む【北海道新ひだか町・三石(みついし)】の昆布漁と卸業を営む家庭に生まれ、現在は札幌市を拠点にして日高昆布の流通・販売、普及活動を行っています。
“ナナクラ” は、初代(木村さんの曾祖父)が生業としていた販売業・卸業「木村七蔵商店(きむらしちぞうしょうてん)」から読み替えて名付けられました。
シックなたたずまいの入り口が目印のナナクラ昆布直営店は、日本新三大夜景に選出された藻岩山の麓、札幌市電「ロープウェイ入口駅」の向かい側にあります。
ここでは日高昆布の販売はもちろん、「だしスタンド」がありナナクラ昆布特製の出汁をいただくことができます。
店内の様子。
観葉植物やお花とともに、中に昆布が入ってるとは思えないおしゃれなパッケージの商品が並びます。
ひとつひとつの商品を手に取りながら選ぶことができる落ち着いた雰囲気です。
木村さんがなぜ日高昆布を取り扱うようになったのか、日高昆布や地域への想いを伺いました。
木村さんは北海道新ひだか町・三石(みついし)の昆布漁師の家庭の生まれです。
大学生の頃の、木村七蔵商店2代目である祖父が「自分の体が動かなくなったら、昆布の漁をやめる」という言葉を聞いてから
祖父の事業をなくしたくない、継承していきたいという想いがうまれたんだそうです。
三石では漁師業を継ぐことができるのは直系の男子という風習や伝統が色濃く残っているそうで、
お父様は漁師とは違う道を選び、木村さんは3姉妹なので自分の代で昆布漁を終えるつもりでいたと言います。
「それってなんとなく、もったいないことだなぁと。
田舎の三石という町の漁師の家に生まれたことは誰にでも与えられるものじゃない。
だから1回きりの人生で、このバックボーンを生かさない手はないんじゃないかと思いました。
女性の私にできることといえば昆布の販売に限られますが、逆に女性という立場が話題を呼ぶだろうし、ニーズもあるはずだ。」
と、漁師の家に生まれたことをチャンスと捉えるようになったそうです。
それなら、どんな人が昆布を欲しいのだろう?もらって嬉しい昆布ってなんだろう?と考え抜き、
「もらってうれしい、おしゃれな昆布」にたどり着いたそうです。
そのアイデアを元に、一般的に販売されている透明の大入り袋ではなく、使い勝手がよい少量タイプで、キッチンにあっても馴染むような昆布に見えないパッケージで販売することにこだわり始めます。
そして、20〜30代の若い世代の人たちにも昆布が普段の食卓に並ぶような、昆布の文化を根付かせるべく、「おしゃれなひとはだしをとる」というキャッチコピーでお料理を開催したり、百貨店やマルシェなどに出店したり昆布を知ってもらうきっかけとして出汁講座も開講しています。
私も出汁の取り方を簡単に教えてもらいました!
前の日の晩にお水に根昆布と煮干しを入れておきます。
水出しされた出汁と昆布を鍋に移し強火で80度ほどに温めます。沸騰させてはいけません。
その後、弱火で10-15分火にかけます。20分以上になるとえぐみの出てきてしまうので注意。
詳しくはこちらの動画で紹介されているのでご確認ください。
私を含めて出汁を取るのは手間がかかって面倒、料理上手な人が使うものという思い込みがある方も多いと思いますが「これなら私でも出来るかも。」と感じるほどイメージしていたより簡単でした。
実際にとった出汁がこちら。澄んだ黄金色をしていますね。
この出汁を使ってナナクラ昆布直営店の「だしスタンド」で、提供されているメニューを頂きました。
ベース出汁に、お好みで鰹節ドリップやマッシュルームや干し梅などのトッピング各種を追加できます。
出汁を飲むという発想がなかったので最初はおっかなびっくりでしたがとっても美味しい!
なんだかホッとする、そんな一杯でした。
クセがなく素材を引き立ててくれる出汁は和洋中どんなお料理にも使えるそうです。
お酒やみりんのように回しかけて調味料のように使ったり、
ハンバーグを蒸すときに差し水として使ったり、
とにかく何にでも使えて入れるだけで格段に美味しくなるそうですよ。
最後に今後の展望をお聞きしたところ、地元の三石でゲストハウスができたらいいなと教えてくださいました。
三石(みついし)の魅力を発信してステキと思ってくださる方が集まることで
地元の方に地域の魅力を再認識しもらえるような、
そして昆布や出汁を知ってもらえるような、
そういった場所ができたら面白いなぁって。おもてなしできたらいいな。と。
地元への想いや昆布に対する熱い想いのあるお話が聞くことができました。
昆布漁は7〜8月のお盆前までがベストシーズン。
天気が良く、風と波が穏やかな早朝にしか漁に出られないので見られたらとってもラッキーだそうですよ。
ぜひ一度足を運んで見てくださいね。