登山をする友人がSNSに「山のお守り」なるもののことを書いていて、「なんだろ?これ」と興味を持って読んでいたことがありました。
立体的に革を重ねて、日本の山々・世界の山々を模した小さなお守り。その裏面にメッセージを記す。ハードな登山に挑戦しようとしていた際に、お友達からプレゼントされたというものだったかと。
登山をする人たちの間では、かわいらしくそしてこの特別なお守りは知っていることが当然の存在となっているとのこと。今回はその「山のお守り」のつくり手を訪ねることに。札幌市東区に工房と店舗を構えるSTEEPING STONESさん。つくり手であり代表の田中鉄馬さんからお話しを聞くことができました。
アウトドア好きがきっかけ。無いなら自分でつくってしまおう。
ドアをあけて店舗にお邪魔したその時から、醸し出てくるやさしく明るいすてきなオーラ。[アウトドア商品の革職人]それをイメージすると、勝手に「武骨」「物静か」というようなイメ―ジを持って訪問したので、意外や意外のいい意味でのギャップ。おかげでたくさん話しを聞かせていただきました。
元来アウトドアが好きで、キャンプや山へ出掛けることの多かった田中さん。世の中で売られているアウトドアグッズに何か物足りなさを感じたり、不便を感じていたのだとか。
「無いなら自分でつくってしまおう」
手先が器用で、モノづくりが得意だったという田中さんは、革細工の経験などなかったものの、調べたり試行錯誤しながらせっせとアイテムづくり。これは決して販売や商売を目的にしていたわけではなく、自分のアウトドアライフを充実させたり、友人へのギフトにしたり。
田中さんのつくるアイテムは周囲の評価も高く、重宝され、ものは試しとフリーマーケットでの販売に挑戦。そこでも人気となり、手応えを掴むのです。
<ものづくり>をひたすらに楽しむ
たくさんのレザーアクセサリー、アウトドアグッズを世に送り出し、キャンパーや登山家をたのしませている田中さん。
「ずっと革細工やものづくりの世界に?」と、問いを投げかけてみるとその答えは「いや、僕は元々料理人です。」
最初に就いた仕事は料理の世界。レストランで料理人を務めていたとのまたまた意外な返答。ただ、話しの続きをうかがうと、「料理もものづくり、革もものづくり。そしてそれで人に喜んでもらう。僕にとってはつくるものが変わっただけで、本質的には何も変わっていない」
なるほどなるほど。確かにそのとおりですね。
そして「すきだからやる、たのしいからやる、そこは軸だと思います。」「だから続けられるし、広げられる」と続く。納得しかないので頷きがどんどん増えます。
大切にしたいのは遊び心。アウトドアは外遊び。
アウトドア、フェス、登山など自然に身に付けて行ける『Outdoor + Leather』がコンセプト。ペットボトルホルダーやサングラスホルダー、登山用のノートなど、アウトドアや登山に便利なアイテムを販売しています。楽しく便利に活用することのできる田中さんのアイテムはどれもカラフルで機能的。
「外遊びってこどものころみんなしたじゃないですか。外遊びって広義的な意味で⾔うと<アウトドア>ですよね。だからこそ遊び⼼を⼤切にしていきたい」
名言です!この言葉に田中さんが送り出すグッズやアイテムの神髄を感じました。
フェスや企業とのコラボも数多
フジロック、サマーソニック、デザインフェスタ、ロハスフェスタなど、その分野が好きな人なら誰でも知るような全国各地のフェスやアートイベントに出展。
北海道で言うなら、JOIN ALIVE、ニセコNAC、秀岳荘、ばんけいスキー場のオフィシャルグッズ制作を手掛けたり、他にもアーティスト、タレント、ショップなどのコラボグッズ等、幅広く制作されています。
また、商業施設やイベントでの屋外空間の装飾を手掛けられたリ、革製品づくりに馴染みのない方や、興味はあるけどきっかけが欲しいという方に向けてワークショップを展開されています。
革のつくり手ではあるけど、革職人ではない
こんなに多くのレザーアイテムを生み出している田中さんですが、「すべて我流。そして無いものや必要なもの、楽しそうなものをつくってきただけ」と語ります。「職人と言えるほど修行をしたわけでもないし、師匠のような存在の方がいるわけでもない。ましてや一生を革のアイテムづくりに費やしたいと考えているわけでもない」
「自分自身がアウトドアやフェスや登山がすきで、それらをもっと楽しめるように」それが根幹にある田中さんは、だからこそのものづくりを続けてこられました。
そんな田中さんは2020年、札幌市南区澄川にある「紅櫻公園」内のキャンプ場のプロデュースに挑みます。春のサクラ、秋の紅葉で知られる紅櫻公園は100年以上の歴史を持つ和風庭園。2018年には園内に北海道初のクラフトジン蒸留所が作られるなど、リニューアルを重ねながら進化をしている紅櫻公園。
「地下鉄駅から徒歩で向かうこともできるこの場所で、気軽にキャンプを楽しんでもらえたら」とお話しされます。
自分のすきなことを大切に、自身で道を拓き、進んでこられた田中さん。そのお話しをされる姿はとても飄々としています。
「ここまでたくさんのものづくりやプロデュースの機会がありましたが、それを生み出した原動力はなんですか?」と田中さんに尋ねてみたところ、「人のつながりや縁ですね」とすぐに答えを出されました。「そして運がいいんです」と。
お話しを聞かせていただいている間中、終始笑顔で明るく包み隠さずいろいろな話しをしてくださる様子からは、田中さんの人柄が溢れ、陽の空気が流れています。そんな田中さんに人や機会集まるんだなあと感じる時間となりました。
アウトドアやフェスがすきな方にとってはその機会を充実させるアイテムに、そしてアウトドアに馴染みのない方も、生活の中で役に立つアイテムが揃っています。ぜひSTPPING STONESの商品を手元に置いてみてください。きっとそのあたたかみやありがたさが伝わるはずです。